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太陽光発電のFIT(固定価格買取)期間が終わると、売電収入が大幅に変わります。2009年に始まった余剰電力買取制度で設置した方はすでに「卒FIT」を迎えており、2012年以降にFIT制度で設置した方も、2022年以降に順次卒FITを迎えています。
卒FIT後にどう対応するかで、電気代の負担が大きく変わります。このページでは、卒FIT後の3つの選択肢と、それぞれのメリット・デメリット、費用シミュレーションを整理します。
FIT(固定価格買取制度)の仕組みをおさらい
FIT制度とは
FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務づける制度です。住宅用(10kW未満)の場合、余剰電力が10年間にわたって固定価格で買い取られます。
資源エネルギー庁(経済産業省)が毎年度の買取価格を公式に発表しており、住宅用の場合は制度開始の2012年度から継続して下落傾向にあります。
(出典:資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html )
FIT終了後の売電単価の変化
FIT期間中と終了後では、売電単価が大きく異なります。
住宅用(10kW未満)のFIT買取価格の推移(資源エネルギー庁公式データ):
| 設置年度 | FIT買取価格 | 買取期間 |
|---|---|---|
| 2012年度 | 42円/kWh | 10年 |
| 2014年度 | 37円/kWh | 10年 |
| 2016年度 | 33円/kWh | 10年 |
| 2018年度 | 28円/kWh | 10年 |
| 2020年度 | 21円/kWh | 10年 |
| 2024年度 | 16円/kWh | 10年 |
※出典:資源エネルギー庁「買取価格・期間等」公式ページ(2026年4月10日確認)
一方、FIT期間が終了した後は、電力会社や新電力による「卒FIT買取サービス」での買取が一般的です。この買取単価は、各社が独自に設定するため電力会社・エリアによって異なりますが、2025〜2026年時点では概ね7〜14円/kWh程度が目安です(エネチェンジ「卒FIT後の売電価格比較」2026年4月10日確認)。
FIT期間中の高い固定価格(例:2014年設置なら37円/kWh)と比べると、買取単価は大幅に下がることになります。
2022〜2026年にFITが終了する世帯の数
FIT制度は2012年7月から本格的に始まりました。設置から10年後にFIT期間が終わるため、2012年に設置した方は2022年頃に卒FITを迎えました。2016年設置の方は2026年頃が卒FITの時期にあたります。
2009年から始まった太陽光発電余剰電力買取制度も含めると、2019年以降、毎年数十万件規模で卒FITを迎える世帯が出ています。すでに卒FITを迎えた方、またはこれから迎える方は、早めに対応を検討することが重要です。
卒FIT後の3つの選択肢
選択肢1: 電力会社や新電力に売電を続ける(卒FIT売電)
FIT期間が終了しても、電力会社や新電力が提供する「卒FIT買取サービス」に申し込めば売電を継続できます。特別な手続きなく自動移行される場合もありますが、単価は電力会社ごとに異なります。
卒FIT後の買取単価の目安(2025〜2026年時点):
| 提供者の種類 | 買取単価の目安 |
|---|---|
| 大手電力会社(各地域) | 7〜9円/kWh程度 |
| 新電力(各社のサービス) | 8〜14円/kWh程度 |
※各社の具体的な単価はエリア・プランにより異なります。最新価格は各社公式サイトでご確認ください(エネチェンジ「卒FIT後の売電価格比較」2026年4月10日確認)。
メリット:
- 特別な初期費用がかからない
- 手続きが比較的簡単
- 即座に対応できる
デメリット:
- FIT期間中と比べて売電収入が大幅に減る(場合によっては5分の1以下)
- 電気料金の上昇局面では、売電より自家消費のほうが経済的に有利なことが多い
新電力各社は卒FIT向けの買取サービスを展開しており、大手電力会社より高い単価を提示しているケースがあります。複数社を比較してから選ぶことをおすすめします。
選択肢2: 蓄電池を設置して自家消費率を高める
卒FIT後に有力な選択肢が、蓄電池の追加導入です。昼間に発電した電気を蓄電池に蓄えておき、夜間に使うことで、自家消費率を高められます。
電気代の目安(30〜35円/kWh程度)と卒FIT後の買取単価(7〜14円/kWh程度)を比較すると、売電するより自家消費したほうが1kWhあたりの経済メリットが大きい場合があります。ただし、蓄電池には初期費用がかかるため、費用と節約効果のバランスを確認することが重要です。
蓄電池の導入費用の目安(工事費込み):
| 容量 | 費用の目安 |
|---|---|
| 5kWh程度 | 約90〜150万円 |
| 10kWh程度 | 約110〜200万円 |
※メーカー・機種・設置条件により大きく変動します(ソーラーパートナーズ「蓄電池価格相場レポート2025年11月」より)。
蓄電池を導入すると、停電時の非常用電源としても活用できます。
メリット:
- 自家消費率が向上し、電気代を削減できる
- 停電・災害時の非常用電源になる
- 夜間割引プランと組み合わせてさらに節電できる場合がある
デメリット:
- 初期費用が大きい(100万円以上が一般的)
- 回収期間は設置費用・電気使用量・補助金活用の有無により異なる
- 蓄電池にも寿命がある(一般的に10〜15年程度)
蓄電池導入の詳細については、太陽光発電の費用・相場ページもあわせてご覧ください。
選択肢3: 蓄電池を積んだうえで余剰分を売電する(大型システム向け)
発電量が多い大型システム(5kW以上)に特に有効な選択肢です。蓄電池を設置して自家消費を優先しつつ、蓄電池では吸収しきれない余剰分は卒FIT買取サービスで売電する組み合わせです。4kW以下の標準的なシステムでは余剰が少ないため、選択肢2(自家消費中心)と結果的に大きく変わらないことが多くなります。
2026年度は、蓄電池への補助金として環境省の「家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」(SIIが運営)が実施されており、上限60万円/戸(導入費用の1/3以内)の補助を受けられる場合があります。補助額は設置容量・条件により異なります(2026年3月24日〜12月10日受付予定。詳細・申請条件はSII公式サイトでご確認ください)。
補助金を活用することで、蓄電池の実質的な初期費用を抑えられます。
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卒FIT後に蓄電池を検討すべき3つのケース
卒FIT後すぐに蓄電池が必要とは限りません。以下のケースに該当する方は、特に蓄電池導入の経済効果が高くなりやすいです。
ケース1: 日中在宅時間が短く、発電した電気を使えていない
共働き世帯や日中外出が多い世帯では、昼間に発電した電気をそのまま売電してしまっているケースが多くなります。卒FIT後は売電単価が大幅に下がるため、蓄電池で昼間の電気を夜間に回す効果が大きくなります。
蓄電池がない場合の自家消費率は概ね30〜40%程度ですが、たとえば4kWパネル・10kWh蓄電池の場合、蓄電池を追加することで70〜80%程度まで高まることもあります(電気使用量・蓄電容量によって異なります)。
ケース2: 停電対策(台風・地震)を強化したい
太陽光パネルのみでは、停電時に自立運転ができる機種でも使える電力に制限があります。蓄電池を組み合わせることで、夜間や悪天候時も電力を確保できます。
近年、自然災害への備えとして蓄電池を導入するご家庭が増えています。卒FITのタイミングは、防災対応を兼ねた設備投資を見直す機会としても活用できます。
ケース3: 電気料金プランを「夜間割引」タイプに切り替えたい
蓄電池があると、夜間の安い時間帯に電力を充電して昼間に使うという運用も可能になります。電力会社によっては夜間割引プランを提供しており、電気代の最適化につながる場合があります。
なお、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて夜間割引プランを使う場合は、「ダブル発電」として売電単価が変わることがあります。プラン変更前に電力会社に確認することをおすすめします。
卒FIT後の費用シミュレーション(比較)
売電継続のみの場合(年間収支の試算例)
太陽光パネル4kW設置で、年間発電量約4,400kWhの試算例です。
- 自家消費割合(40%):約1,760kWh
- 売電量(60%):約2,640kWh
FIT期間中(例:2014年設置、37円/kWh)の売電収入:約97,680円/年 卒FIT後(9円/kWhで試算)の売電収入:約23,760円/年
卒FIT後の合計年間メリット(自家消費節約+売電):
自家消費節約(約1,760kWh × 30円 ≒ 52,800円)+ 売電収入(約23,760円)= 約76,560円/年
蓄電池追加ケース(約108,900円/年)との差額は約32,000円/年です。補助金なしで蓄電池(中間値150万円)を導入した場合、この差額を回収するには約47年かかる試算となります。自家消費率が低い世帯や補助金が活用できる場合は、蓄電池導入の効果が大きくなります。
FIT期間中と比べると、売電収入は大幅に減ります。ただし、自家消費分(電気代節約)は引き続き効果があります。
蓄電池を追加した場合(年間収支の試算例)
同じ4kWシステムに10kWh蓄電池を追加したケースの試算例です。
- 自家消費割合(75%程度に向上):約3,300kWh
- 売電量(25%程度):約1,100kWh
電気代節約効果(30円/kWhで試算):約99,000円/年
売電収入(9円/kWhで試算):約9,900円/年
合計年間メリット:約108,900円/年
蓄電池費用の中間値150万円で試算しています。仮に110万円であれば回収約10年、200万円であれば回収約18年と、費用によって大きく変わります。補助金(上限60万円/戸)を活用できた場合は、回収期間が短縮される可能性があります。具体的な回収期間は設置条件・補助金額により異なります。
※上記はあくまで参考試算例です。実際の発電量・電気使用量・電気料金プラン・設置条件によって大きく異なります。個別の試算は業者への見積もり依頼をおすすめします。
どちらが有利かは「電気使用量」と「蓄電池費用」次第
蓄電池導入が経済的に有利かどうかは、以下の条件によって変わります。
蓄電池が有利になりやすい条件:
- 電気使用量が多い(月400kWh以上など)
- 補助金を利用できる
- 電気料金が高い(夜間割引プランを活用できる)
- 日中の不在時間が長い
売電継続のみでも十分な条件:
- 電気使用量が少ない
- 蓄電池の初期費用が高い(費用対効果が合わない)
- 太陽光システムの残余年数が少ない
蓄電池が必ず有利とは断言できません。ご自宅の電気使用量・現在の電気料金プラン・設置費用の見積もりを比較したうえで判断してください。
| 選択肢 | 初期費用 | 手続き | 年間メリットの目安 | おすすめの状況 |
|---|---|---|---|---|
| 売電継続のみ | ほぼ不要 | 電力会社・新電力に申込み | 約76,560円/年(試算例) | すぐに動きたくない、様子を見たい |
| 蓄電池追加(自家消費中心) | 約100〜200万円 | 設置業者との契約・補助金申請 | 約108,900円/年(試算例) | 電気使用量が多い、停電対策も重視 |
| 蓄電池+余剰売電(大型システム向け) | 約100〜200万円 | 設置+電力会社への売電契約 | 自家消費節約+余剰売電収入 | 5kW以上の大型システム・余剰が出やすい環境 |
※費用・メリットは目安・試算例です。実際は設置条件・地域・メーカーにより変動します。試算の前提は本文をご参照ください。
卒FITの手続きと確認事項
FIT終了の通知はいつ来るか
電力会社からFIT期間終了の案内が届くのは、一般的に終了の数か月前です。案内には買取終了日・その後の手続き・移行先の選択肢などが記載されています。
FIT期間の終了日は、売電開始日から数えて10年後が基本です。ただし、売電開始日と設置日は異なる場合があります。不明な場合は電力会社への確認をおすすめします。
売電継続する場合の手続き
卒FIT後も売電を続けるには、電力会社または新電力の「卒FIT買取サービス」に申し込む必要があります。自動的に更新されるケースもありますが、条件(単価など)が変わることがあるため、通知内容を確認し必要に応じて手続きを行ってください。
売電先の選択肢は複数あります。複数社の買取単価を比較したうえで選ぶことで、より有利な条件を選べる場合があります。
蓄電池を追加導入する場合の手続き
蓄電池を追加設置する場合は、以下の手続きが必要になるケースがあります。
- 電力会社への接続申請:蓄電池を系統に接続する際に必要
- 補助金の申請:国や自治体の補助金を利用する場合は、工事前の申請が必要なケースがある
- 電気工事の手配:有資格者による設置工事が必要
補助金は申請期限・予算枠があります。太陽光発電に使える補助金の詳細は太陽光発電の補助金・助成金ガイドで解説しています。2026年度の最新情報は、SII(環境共創イニシアチブ)の公式サイト(https://sii.or.jp/)および各自治体の公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q: FITが終わったら太陽光パネルはどうなる?撤去が必要?
太陽光パネルはFIT期間が終了しても、そのまま使い続けることができます。卒FIT後も発電は続き、自家消費または卒FIT買取サービスによる売電が可能です。撤去は必須ではありません。
ただし、設置から15〜20年以上経過した場合はパネルの出力低下や機器の老朽化が進むことがあります。状態に不安がある場合は、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
Q: 卒FIT後も売電できる?
売電を続けることができます。ただし、電力会社や新電力が提供する「卒FIT買取サービス」への申し込みが必要になる場合があります。FIT期間中と異なり、買取単価は各社が独自に設定するため、FIT期間中より大幅に低くなるのが一般的です(概ね7〜14円/kWh程度が目安)。
Q: 卒FIT後に蓄電池を導入すると補助金は出る?
2026年度時点では、環境省の「家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」(SIIが運営)において蓄電池への補助金が提供されています(上限60万円/戸、導入費用の1/3以内。補助額は設置容量・条件により異なります。受付期間は2026年3月24日〜12月10日予定)。都道府県・市区町村の独自補助金が別途ある場合もあります。補助金の条件・申請方法は年度ごとに変わるため、SII公式サイト(https://dr-battery.sii.or.jp/r7h/)およびお住まいの自治体の公式サイトで最新情報をご確認ください。
Q: FIT終了前にやっておくべきことは?
FIT終了前に確認・準備しておくべき事項を以下に整理します。
- FIT終了時期の確認:電力会社からの通知または売電開始日を確認する
- 卒FIT後の選択肢の比較:新電力各社の買取単価・蓄電池の費用対効果を比較する
- 補助金の申請スケジュール確認:補助金は予算枠がなくなり次第終了する場合がある。申請には一定の準備期間が必要
- 業者への相談・見積もり依頼:蓄電池を導入する場合は、早めに複数業者から見積もりを取ることをおすすめします
まとめ
卒FIT後の主な選択肢は次の3つです。
- 売電継続のみ:手続きが簡単。ただし収入はFIT期間中より大幅に減る(試算例:約76,560円/年)
- 蓄電池を追加して自家消費率を上げる:初期費用はかかるが、電気代節約+停電対策の効果がある(試算例:約108,900円/年)
- 蓄電池+余剰売電の組み合わせ:5kW以上の大型システムで発電量が多い環境に適した選択肢
蓄電池が経済的に有利かどうかは「電気使用量」と「蓄電池費用」「補助金の活用有無」によって変わります。一概に蓄電池が必ず有利とは言えないため、自分の家の条件で試算することが重要です。
太陽光発電の設置費用や費用回収の詳細については、太陽光発電の費用・相場ページをあわせてご覧ください。
この記事で紹介した主なデータの出典:
- FIT買取価格(年度別推移):資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度」(2026年4月10日確認)
- 卒FIT後の売電単価:エネチェンジ「2026年 卒FIT後の売電価格比較」(2026年4月10日確認)
- 蓄電池費用:ソーラーパートナーズ「蓄電池価格相場レポート2025年11月」(2026年4月10日確認)
- 蓄電池補助金:SII(環境共創イニシアチブ)公式サイト(2026年4月10日確認)
※補助金制度・売電価格は年度によって変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。